canvas-design を使ってみた ― 静止した水のOGを作る

Anthropic公式スキル canvas-design を、作法どおりに最後まで使ってみた。 ①「視覚哲学(マニフェスト)」を書き、②それを静的な1枚絵として描く2段階。題材は、前回 algorithmic-art で作った“動く水(Caustica)”と対になる“静止した水”。最終的に ui-memo「清涼感」ページのOG画像の試作として仕上げた記録。

静止した水の観察プレート風OG。波紋の同心円・計測目盛・臨床ラベル・「清涼感」のタイトル
plate.png ― 完成した1枚。このページのOG画像にもそのまま使っている。

このスキルは何か

canvas-design は、静的なビジュアルアート(.png/.pdf)を2段階で作るスキル。まず「視覚哲学」を文章で定義し、次にそれを1枚のデザインとして表現する。algorithmic-art と双子の関係で、あちらが“コードで動く”、こちらが“静止した1枚”。狙う美学がはっきりしていて、SKILL.md は「架空の学術図版」のように作れと説く——密に反復するマーク、臨床的で最小限のタイポグラフィ、限定パレット、美術館品質の作り込み。フォントも多数同梱されている。

実際にやった手順

Step 1:視覚哲学を書いた

algorithmic-art と同じく、いきなり描かずまず文章で美学を定義する。今回は "Quiet Refraction(静かな屈折)" という movement を立てた。「静けさを、忍耐づよく観察し、測り、図版に起こす」という美学——穏やかな水面を“研究対象”として扱う。

体験メモ:このスキルも哲学文に「職人性を繰り返し強調せよ」と指示する(algorithmic-art と同じ作法)。さらに「哲学は用途を書かず、汎用的に保て」とも言う。実際、用途(OG)を哲学から切り離して書くと、出力の自由度が上がって、結果的に良い構図に転がった。

Step 2:静的キャンバスとして描いた

SKILL.md が示す「架空の学術図版」の美学に従って、静止した水の“観察プレート”として構成した。中央に一滴の波紋が広がる同心円(外側ほど間隔が開く=波の減衰)、第二の滴、放射状の計測目盛、底部のルーラー、そして臨床的なモノスペースのラベル(PLATE IV / STILLWATER STUDIES / n = 1.333 / FIG.01 — RIPPLE DECAY)。配色は寒色のみ(淡い紙地+ティール/スレートの細線+一点だけ淡いアクア)。

Step 3:「概念の核」を忍ばせた

SKILL.md には「主題を、宣言せず、作品に静かに織り込め」という独特の工程がある。今回の核は「水の静けさ・透明感(=清涼感)」。それをラベルや構図に溶かし込み、知っている人だけが“水の研究図だ”と感じ、他の人は“美しい抽象プレート”として見る、という設計にした。

Step 4:仕上げの第2パス(精緻化)

SKILL.md の最後は変わっていて、「ユーザーは既に『まだ完璧でない、美術館級にせよ』と言っている体で、要素を足さず、既にあるものをより精緻に」と要求する。これに従い、リングと底ルーラーの余白を確保し、重なっていた屈折率ラベルを整理した。足し算でなく引き算で詰める指示は、frontend-design の抑制とも一致していて効いた。

使ってみて効いたこと

  • 美学が明確:「架空の学術図版」という具体的な美学の指定があるので、ゼロから迷わずに“品のある1枚”に寄せられた。
  • 同梱フォントの質:Italiana(繊細なディスプレイ)・Jura・GeistMono など完成度の高いフォントが同梱され、タイポだけで格が出た。
  • 哲学→表現の分離:先に言葉で美学を固めると、描画が速く・ブレない(algorithmic-art と同じ手応え)。
  • 動と静の対:algorithmic-art の Caustica(動く水)と、 canvas-design の Quiet Refraction(静止した水)が、同じ「清涼感」の表裏として並んだ。スキル2つを使い分けると、1つのテーマを多面的に表現できる。
  • 実用に着地:清涼感ページのOG試作として仕上がった。文字だけの自動生成OGより、世界観のあるサムネになる。

ハマった・判断したこと

  • 同梱フォントはラテンのみ:日本語「清涼感」 は同梱フォントに無く、システムの日本語フォント(Noto Serif CJK JP)を併用した。日本語タイトルを入れるOGでは、ここを別途用意する必要がある。
  • 静止画にはコピペコードが付かない:ui-memo の通常demoは「実物+コピペ可能コード」が価値。canvas-design の出力は1枚絵なので、その文脈では“読むコンテンツ”ではなく“見せる素材”として使うのが正しい(OG・ヒーロー・サムネ向き)。
  • 全ページ自動には不向き:1枚ずつ手作りなので、Satori の動的OGのように全ページ自動生成はできない。世界観の強い数ページだけ手作りの良質OGに差し替える、という使い分けが現実的。

ui-memo での使いどころ

  • 世界観ページのOG/ヒーロー:清涼感・海・木漏れ日のような“空気感”のあるページのOGを、文字主体から「1枚絵+タイトル」に格上げできる。今回の清涼感OGはその試作。
  • 記事・SNSのアイキャッチ:Zennや告知の見栄えを底上げ。
  • 動(p5)×静(canvas)のセット運用:同じテーマで「動くデモ」と「静の1枚」を揃えると、ページの世界観が強くなる。

まとめ

canvas-design は「まず哲学、次に1枚絵」という順序と、「架空の学術図版」という明確な美学、そして“要素を足さず精緻にする”仕上げが要のスキルだった。algorithmic-art が“動く水”なら、canvas-design は“静止した水”——同じ清涼感を、動と静の両面から作れた。コピペコードを生むスキルではないぶん、見せる素材の質を一段上げる種類の道具だと感じた。

よくある質問

Q. canvas-design は何を作るスキルですか?

静的なビジュアルアート(.png/.pdf)を2段階で作ります。まず「視覚哲学」を文章で定義し、次に1枚のデザインとして表現します。狙いは「架空の学術図版」のような、密で精緻な1枚絵です。

Q. algorithmic-art とどう違いますか?

2段階(哲学→表現)の作法は同じですが、algorithmic-art は p5.js で“動く”作品、canvas-design は“静止した1枚絵”です。動と静で対になります。

Q. 日本語のタイトルは入れられますか?

同梱フォントはラテン中心なので、日本語はシステムの日本語フォント等を別途併用します。今回は Noto Serif CJK JP を使いました。

Q. ui-memo のどこで使えますか?

世界観の強いページのOGやヒーロー、記事のアイキャッチに向きます。1枚ずつ手作りなので、全ページ自動ではなく“ここぞ”のページに使います。今回は「清涼感」ページのOG試作として作りました。