algorithmic-art を実際に動かしてみた ― p5.js で水中コースティクスを作る
Anthropic公式スキル algorithmic-art を、作法どおりに最後まで使ってみた。 ①「アルゴリズム哲学」を書き、②それを p5.js のジェネラティブアートとして実装する2段階。実際に動かし、配色でつまずいて方針転換し、最終的に ui-memo の「清涼感」ページの水面コースティクスdemoとして採用するところまでやった記録。
このスキルは何か
algorithmic-art は、ジェネラティブアートを2段階で作るスキル。まず「アルゴリズム哲学(マニフェスト)」を文章で書き、次にそれを p5.js のコードで表現する。鍵は3つ——過程こそが美(走らせるたびに一意な“生きた”アルゴリズム)、シード付き乱数(再現可能なランダム=Art Blocks方式)、そして p5.js のビューワーは付属テンプレートを土台にすること。
実際にやった手順
Step 1:アルゴリズム哲学を書いた
いきなりコードに行かず、まず「どんな計算美学か」を文章で定義する流れ。最終的に "Caustica(潜光)" という movement を立てた。コンセプトは「水底にゆらぐ光の網」——水面の波がレンズのように光を屈折・集束させ、プールの底に揺れる明線の網(コースティクス)を生む、その“涼しさ・透明感”を主題にした。
体験メモ:哲学を先に書くと、コードを書く前に「何を作るか」が言語化されて、実装が驚くほど速く・ブレなくなった。一方でスキルは哲学文に「職人性を繰り返し強調せよ」と指示する。正直、最初は自己演出めいて感じたが、書いてみると“雑に作らない”という自分への縛りとして機能した。
Step 2:p5.js で表現した(最初の失敗)
最初は別のモチーフ(有機的な流れ場)を、サイトのブランド色である赤を差し色にして実装した。ところが——できあがった赤い細線が、流線に乗ると血管や傷のように見えて、生理的に気持ち悪い。アルゴリズムは正しく動いていたが、絵としては不快だった。
体験メモ:これは「過程こそが美」の裏返しの教訓。ジェネラティブアートは出力を見て判断する工程が必須で、アルゴリズムの正しさと、絵の良し悪しは別物。frontend-design でいう「作った後に自分で批評する」が、ここでも効いた。
Step 3:モチーフごと方針転換した
赤を差し色に残す前提を捨て、モチーフを水中のコースティクスに変更。配色を寒色のみ(深いティール地+淡いシアン白の光、交差点で白へ)に振り、加算合成で光が重なるほど明るく発光するようにした。2つの位相差フローフィールドを交差させて「網」を作り、ノイズの時間発展で揺らし続ける。赤は完全に外した——清涼感の規律は、色を足さないことだった。

Step 4:シードを変えて生成した
シード付きなので、同じシードは必ず同じ絵、違うシードは別の絵になる。3つのシードで生成して確認した。

Step 5:動く実物として埋め込んだ(実ページに採用)
作った Caustica は、ui-memo の「清涼感」ページの水面コースティクスdemoとして実際に採用した。下のビューワーで「別の光を生成」を押すと、毎回一意な光の網が出る。
使ってみて効いたこと
- 哲学ファースト:作る前に言語化する2段階は、行き当たりばったりを防ぐ。実装が速く・ブレなくなった。
- 出力を見て判断する工程の大切さ:赤い流線が血管に見えた失敗で痛感した。アルゴリズムの正しさ≠絵の良さ。
- シード再現性:「一意だが再現できる」は実用的。良い1枚を引いたらシードを記録すれば再現できる。
- テンプレ起点:UIをゼロから作らず土台に乗るので、見た目の質が最初から担保される。
- 実ページに繋がった:実験で終わらず、清涼感ページの本番demoとして採用できた。スキルの出力が“作品”として現場で使えた。
ハマった・判断したこと
- 配色は最後に効く:ブランド色(赤)を機械的に差すと、モチーフ次第で生々しくなる。色はモチーフと不可分。清涼感を出すなら「赤を足さない」方が正解だった。
- 連続アニメと静止:実ページのカードは他の演出と並ぶので、ループする「揺れ続けるコースティクス」に。記事側は「触って毎回生成」のインタラクティブ版に。同じスケッチを用途で出し分けた。
- 環境依存:p5.js を CDN から読むと環境によっては詰まる。ローカル(
public/配信)に置くと安定。容量もpublic/配信ならJSバンドルに載らない。
ui-memo での使いどころ
- 「UI表現の引き出し」の演出demo:今回そのまま「清涼感」ページの水面コースティクスに採用。表現の引き出しを実物で増やせる。
- OG画像・ヒーロー・サムネ:シード再現性があるので、良い構図を選んで固定できる。
- 記事のアイキャッチ:Zennや各ページの図版に。
まとめ
algorithmic-art は「まず哲学、次にコード」という順序と、シード付きの再現性が要のスキルだった。赤い流線が血管に見えた失敗から水中コースティクスへ方針転換し、最終的に実ページのdemoとして採用するまで通したことで、過程の美・出力を見て判断すること・配色とモチーフの不可分さが腑に落ちた。frontend-design が“判断の軸”なら、algorithmic-art は“手を動かして生む”スキル——両方を併せると、方針から作品まで一気通貫で作れる。
よくある質問
Q. algorithmic-art は何を作るスキルですか?
ジェネラティブアートを2段階で作ります。まず「アルゴリズム哲学」を文章で定義し、次に p5.js のコードとして表現します。走らせるたびに一意な“生きた”作品が目的です。
Q. 同じ絵を再現できますか?
できます。シード付き乱数(Art Blocks方式)なので、同じシードなら必ず同じ絵、違うシードなら別の絵になります。良い構図はシードを記録すれば再現できます。
Q. 配色は自由に変えていいですか?
自分のサイトに載せるなら自分の文脈に合わせて問題ありません。今回はブランド色の赤が血管のように見えたため、モチーフごと水中コースティクス(寒色のみ)に変えました。配色はモチーフと不可分です。
Q. 出力はどこで使えますか?
演出demo・OG画像・ヒーロー・記事のアイキャッチに使えます。今回は「清涼感」ページの水面コースティクスdemoとして実際に採用しました。